部品

2016年11月 5日 (土)

D51従台車のN踏面輪軸

 今日は京都鉄道博物館へ行こうとお誘いがあった。
混んでいるのかと思ったがほとんど並ぶこともなく入場することができた。
マロネフ59とスシ28の床下を覗き込むこともできて、都合よく配置されている。
待ち合わせの時間まで機関車の解体を見ようと2階へ上がった。
屋外からではあるが、機関車の解体職場が上から見ることができる。
ちょうどD51200の車抜きがされており、動輪が線路から横へ置かれている。
その前方には先台車が、後方に従台車が置かれている。
良く見ると従輪には白い鉢巻が巻いてあるのが確認できた。

 先般、「2段リンクとN踏面」の記事でN踏面を話題にしているが、
「車両共通部品検査施行規準規定」第4条
C58、D50及びD51の各形式蒸気機関車の従台車の輪軸を組み込む場合は、次による。
ア N踏面・・・中略・・・の輪軸以外のものを使用しないこと。
イ 車軸中央部に幅200mmの白線を白ペイントで標記すること。
と示してある。(ただし、昭和44年以降に該当する。)
今まで知らなかったことで、「ほんとかな?」と半信半疑だったが、確認することができてスッキリした。
●D51従台車のN踏面輪軸(D51200)

D51judaisya

D511とC581は薄暗くそれらしいものを確認することはできなかった。
 さて、もうひとつ疑問が解決できるものを確認することができた。
博物館には「たから号」のヨ5008が保存されている。
先の「ワ10000(4)-2」で解説しているように、1段リンク時のリベット穴を埋めた跡と2段リンク化時の補強を確認することができる。
●2段リンク改造跡

Yo5008

今日の本当の目的は、「スチーム号」の最終運転時の給水、石炭積込み作業の撮影である。
毎年何回かこれを目当てに訪れる。
今日は更に明日の「SLびわこ号」の機関車の積込み作業が行われるため、2倍たのしめるのである。
●C56160の石炭積込み作業Dscf0574
●夕暮れのC61
C61201

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2016年10月25日 (火)

石炭車(セキ)

先般の遠出の反動か季節の変わり目だからか、週末は模型制作の意欲が湧かず半日昼寝をしてしまいました。
先に話題にしたセキ600も手すりなど細かい寸法を割り出すのに手間取り、参考にした古い鉄道資料の「オテセ10500(セキ600)」の図面をトレースした。
およそ一日余りで3面のうち2面まで仕上がった。
ところが何を勘違いしたか僅か数ミリ寸法が合わない。
図面も不鮮明で、薄い鉄板の両側にアングルと更に交差するアングルが重なり訳がわからない。
慎重に計算しなおしたら鉄板1枚の誤差があり、何とか修正した。斜めになっているため端数がでる。
あとは1面残すのみでこの図を元にセキ1、600とセキ1000の幾つかタイプをイラストに描いてみようと思う。

Seki60001

ところがこの図には台枠、つまり骨格だけしかない。
この3形式ともKCシリンダー(シリンダー径はちがう)のため、セキ3000などとは異なる。(KDシリンダー)
 ワ10000の項でも話題にしたように、新たに発掘した古い資料に各形式の、水平テコ、垂直テコの寸法が一覧になっていて、さすがにセキ1は載っていないが、それぞれ寸法が示されている。
先の図面トレースの際、各テコの関係この寸法からシリンダーの位置が推定できることに気付いたわけだ。詳細は後日あらためて解説したい。
昨年夏、そして今春に2度北海道へ訪問したのだけれど、なぜか南大夕張へは行っておらず今となってはセキ1000を撮影してなかったことが残念だ。
11月のお休みに無理して行けないことも無いが、そろそろ雪も降り出したようで来春まで我慢することにする。
 ところで10年以上前になるが、近江鉄道のセキ1を撮影したネガがあるのを思い出した。
色は悪いが何とか補正することができたのでお目に掛けよう。
 この形式は国鉄のセキ3000形式と同型ということだ。
細かく見ると車体の構造はセキ3000そのものだが、ハンドルは水平ハンドルで改造前と同じようだ。
さて、下回りも見てみると(セキ14,12)確かにKDシリンダーがついている。
ところが記憶には無いがもう1両(車番不明)はKCシリンダーが付いている。
なぜなのか?何らかの理由で二軸貨車のものを転用したのか。不明である。
もう少し詳細を記録しておけば良かった。
撮影場所;近江鉄道高宮駅構内
撮影日;2005年03月28日
●セキ14外観

N023930

●セキ12外観

N023933

●同・ハンドル
ブレーキはL型ハンドル
扉ハンドルは丸型

N023936

●同・KDシリンダー(空気ダメ)

N023934

●名板
昭和39年近江鉄道車両工場と表記

N023932

●台車・TR41系

N023931

●車番不明・KCシリンダー
扉開閉用レバーがよくわかる。

N023935

※この記事の写真は後日、別ページに移動することがあります。
形式別に整理のため。

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2016年10月18日 (火)

2段リンクとN踏面

本来はワ10000形式に相当するが、一般車両において関連するので本記事とする。

 ワ10000形式はトキ900形式の改造(名義)として、12t短軸(輪軸)を再利用したのはご承知のことと思う。
この輪軸はトキ900形式の製作段階で、タイヤの止輪を省略し軽量化と材料の節約を計ったと言われている。
この輪軸は「乙種」として区別され、工場毎に厳格に番号管理されている。
ここで既出の2段リンク改造後「ワ10012」号の輪軸を再度確認いただきたい。
●各位輪軸
1位側(手前)は円板車輪(プレート)で、2位側(向側)はスポークを装備している。
何れもテーパー軸(細軸)である。
「貨車検査基準規定」では輪軸使用に規定が多くある。
このように通常は「円板/スポーク」、「細軸/太軸」の混用は許されている。

2link02

2link01

このように年代を経ることで輪軸の交換が行われ、晩年は流用部品はすでに使用されていない事例もあると思われる。

●ワ12144号車の例
この場合は12t長軸であるが、1、2位とも太軸(ストレート)が使用されている。
また冷蔵車、無蓋車では太軸の使用に限定されている。
2link03
●2段リンク車・車軸の白帯
太軸、細軸にかかわらず、軸中央に200mm幅の白帯標記が見られる。
 2段リンク車は、ワム90000をはじめ各形式に採用されてきたが、新製時は何れも従来の踏面形状(車輪テーパー、フランジ)は従来の基本踏面で登場している。
ワ12000、10000形式においても2段リンク時は基本踏面で「ヨンサントウ」を迎えている。
この当時、2段リンク車の脱線事故が多発し、車輪踏面の改良が行われ、昭和44~46年に工場ならびに各検査区所でN踏面への交換や研削が行われた。
新小岩工場では44年および46年にそれぞれ1000両余り施工された記録がある。

さて、ここで各形式の登場からヨンサントウ、そして廃車までの時代でこの白鉢巻(※印)の標記を模型でも再現できるのではないかと思う。
・ワ10000の場合
新製1段リンク(※無印)~2段リンク(※無印)~N踏面46年頃(※白印)~廃車
・ワ12000の場合
新製2段リンク(※無印)~N踏面46年頃(※白印)~廃車
このような表現が可能だろう。
因みに、貨車用輪芯、タイヤには塗装しないと規定されている。(傷発見を容易にする)
N踏面以外では、幅100mmの白帯等が存在している。詳細は別途

●SA(自動すきま調整器)の装備
ほとんどの二軸貨車は晩年に制輪子のすきま調整を自動的に行い、メンテナンスの容易化を図っている。
既出の図面(ブレーキ装置)には含まれていないが、両形式の写真には確認することができる。
ここに再掲載する。

Sa01

前回説明した「リンク式」表記であるが、リンク(1段)2段リンク両者を比較する場合においては、「1段リンク」という表記されている事例があったので報告しておく。
「N踏面」の詳細については別の機会に解説したい。

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2016年9月19日 (月)

貨車部品・国鉄貨車のディテール

「ワ10000まだですか?」と言われそうですが、段取りがあるのでもう少しお待ちください。

図面や写真を探しているとこのようなものがあったので、ちょっと息抜きに。
およそ10年間、貨車区の資材倉庫で在庫や入庫管理、部品の手配をしていると珍しいものが入庫してきます。
片手間なので仕事を止める訳にいかないので、自分で運搬するときは都合の良い場所で仮置きして、光の向きに合わせて参考写真を撮っています。
撮影;1981~85年頃
場所;梅田貨車区吹田派出所(旧吹田貨車区)
●自動連結器(シリコン緩衝器)
ヨ8000形式用のシリコン緩衝器です。
重いのでフォークリフトで運搬します。
小さい車体の割りに枠が大きいです。(大枠といいます)
新品ではなく工場の予備品、つまり再生したもの。
連結器の磨耗箇所、ナックルは余盛して研磨されます。
ナックルピン、座金、コッターは新品に交換されています。
このあと臨検車庫で故障該当車のものと交換し、損品として配給車に載せ工場へ返却します。

L010104

●自動連結器(首振り)
トキ25000だったと記憶していますが、緩衝器は在姿のまま連結器頭部を交換しました。
記憶は曖昧ですが、交番検査で故障が判明し、臨検車庫で後日交換したのでしょう。
裏面(下側)しか見えませんが、下作用の錠上げがあり表に返すことができません。
緩衝器とはピンで結ばれていて、交換できるよう下側からピンを挿入したように思います。
抜け落ちないよう、太いボルトとピンで固定されています。
たぶん、それほど重くないので、二人で手でパレットに乗せたと思います。
もちろん100kg近くはあるでしょう。

L012829

L012830

●連結器(廃車発生品)
ワム60000やワラ1のものと推測します。
錆びているようで意外に黒いです。
手前の緩衝器のピッチは細かく、奥側は粗く枚数が少ない。
どちらもゴム緩衝器で、手前は「RD8」、奥は「RD2」と思われます。
このほかにも一般的な「50t輪バネ式(大枠)」や、大枠にRDゴム緩衝器を取り付けた「ゴム間座」などがありました。
因みにワム3500等古い形式は、コイルバネが2重に入っているものもあります。
ここに見えるのは「強化型」しか見えませんが、「在来型」というものがありました。
ナックルピンの太さ、長さが異なり、ナックルも互換性がありません。
磨耗したものは、1mmピッチで太いものに交換することができますが、磨耗しているようでなかなかオーバーサイズのものは入りません。
ナックルピンンが抜けないものもありました。
手前右側に「白○」が見えますが、連結器高さを測る基準、ポンチマークです。

19840729

●輪軸
残念ですが、短軸はありませんでした。
ワム60000、ワラ1などの廃車の際に発生したスクラップです。
ちょっと判りにくいですが、奥側のグループの車軸中央には白線が見えます。
幅200mmの白線ですが、ヨンサントウ(43-10)以降の2段リンク車の証である、N沓面輪軸に表記されています。たいていは汚れて目立ちません。
一番手前のスポークはまだ新しいタイヤなのか、その隣のものとは直径が大きく異なります。
タイヤの磨耗で連結器高さが変わるため、軸箱と担バネの間に座板(ライナ)をはさみ調整します。座板には40mm,20mm、10mm等あったように記憶しています。
バネ座には、0,15,30,45mmがありました。(2016/09/22訂正)
19840724
●担バネ
有蓋車のものなので、13種しかありません。
判りにくいですが、でバネの「+」「-」「○」固さ(摩擦)が区別されています。
バネ高さによる公差による区分などが標記されている。(2016/09/22)
古い表記では「±」というものもあったようです。時代によってかわります。

19840731
●KCシリンダー
普段このような状態で見ることはできません。
残念ながらK制御弁は外されています。
このようのいろいろな方向から見られるのは珍しい。
19840732

19840733

今から思えばブレーキバリや引棒なども並べて撮っておくべきでした。
まだ紹介しきれないものは、このページで追記することがあります。

・ヒ600形式の車軸研磨
・トキ25000の車軸交換(ジャッキアップ)
などもご紹介したいと思います。

追記)
自動連結器のバネには上記の他、「丙種引張摩擦装置」が存在した。
担ばね標記について、筆者の重大な認識間違えがあり訂正をした。
本記事についてはこのような標記がされているという程度に止めていただきたく思う。
担バネの種類、標記については別の機会に説明する。

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